こんにちは、しょーいです!
前回は「空気を読まない方が生きやすくなった」という話をしました。
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空気を読まないようにして5年くらい経ったら、そこそこ生きやすかった
こんにちは、しょーいです! 日本社会の特徴として「空気読み」がよく挙げられますが、 私は空気など読むものか と決めてから5年くらい経ったので、空気を読まない生活を続けた私の ...
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ただ、誤解して欲しくないのが
「空気を読まない」と「勝手な振る舞い」は別物だという点。
違和感を抑え込まないというのが重要じゃないかと常々感じるんです。
その点、私が尊敬している人物がいまして。
私が人生で最高レベルのしんどさを抱えていた当時に連載されていました。
もう、私が人間を諦めずに居られたのはこのマンガのおかげとしか思えません。本当に。
人の心が読めても、変えられなければ無意味だ
神峰は「人の心が見える」特殊能力を持っています。
全コミュ障が垂涎ものです。私も欲しい、その能力。
『SOUL CATCHER(S)』を読むまではそう思っていました。
「人の心が見えればもっと上手なコミュニケーションがとれるのに」
果たして本当でしょうか? 神峰の独白が秀逸すぎる……!
心の状態をバラすと人はキレる
心に関わって良い方向に行った試しがない(中略)
見えたから 何だってんだ
変えることも許されず胸クソ悪ぃもん見せつけられる
もう限界だ
誰かオレの目潰してくれ……!!
人の心が見えたところで、コミュニケーションの”正解”は見えないわけです。
第1話数ページで現実を容赦なく突きつけていくスタイル。
見える人×変える人
自分の目に絶望している神峰は吹奏楽部のサックス奏者・刻阪響と屋上で出会います。
刻阪の演奏によって文字通り人の心が変わっていくのを目の当たりにし、
「人の心を変えるなんてムリ」
「心が見えても意味がない」
という考えを改めます。
刻阪の幼なじみにして歌手志望、しかし声を失って回復の見込みがない
滝沢桃子(モコ)の心を見た神峰のセリフがこちら。
こんなことも生まれて初めて言う
せめてあの子の心と目ェそらさず向き合いてェ
「オレの目潰してくれ」からの「目ェそらさず向き合いてェ」。
真っ正直すぎないですか、神峰さん……!
絶望の只中から希望を見出しての立ち直るスピードが究極に早い。
転ぶのは当然、さっさと起きればいい
神峰は対人関係でミスることを常に恐れています。
冷や汗かいたり震えたりと、とにかく人に怯えてばかりで
少年マンガの主人公にしては情けなさが目立つほど。
でも、刻阪と出会ってからはミスってからの復活も早い。
むしろ「ミスのおかげ」と、
不協和を起こしても凹みっぱなしになるのではなく、
心をつかむチャンスに変えていく。
勘違いしてた…
2人が話してくれて
キレてくれてやっと わかった
心に関わり、相手がキレることを徹底的に恐れていた神峰が
「キレてくれて」
とまで言うようになるんです!
場の空気を読むだけだったら、
「相手をキレさせないように」
「穏便に」
「波風立てずに」
済ませようとするじゃないですか。
神峰は自分の違和感を信じて、状況を好転させようと動くんです。
その結果、自分が傷ついたり嫌われたりすることを山ほど経験してきたにもかかわらず、
「変わる希望があるなら逃げない」というスタンスを確立していきます。
どうでもいいですが、私が本書を読んでいた当時は20代後半。
「え、高校生でこんなに人間できてるの……?!」
と自分と比べて何度涙したことか。
周囲の希望どおりにふるまう必要はない
学校の吹奏楽部において、学生指揮者というのは超レアです。
通常は部活の顧問や音楽の先生が指揮を振ります。
したがって、学生指揮者の神峰は好奇の目で見られ続けます。
失敗すれば「まぁ、素人だし学生だしね」、
成功すれば「あいつ、スゲぇ」と
どちらに転んでも”異質”な訳です。
「人間は周囲から見られるように行動する特性がある」と言われます。
周囲が「あの子はできる」と思えばできるようになるし、
「アイツは失敗ばかり」と思えば失敗ばかりするようになる、という具合で。
空気を読まないということは、そんな周囲の期待に従わないということでもあります。
刻阪の姉・楓さんのレッスンがまた熱い……!
「自分の指揮が間違ってるかも?」っていう不安もあるでしょ
自分に従わない音楽の先輩たちに圧倒され 振り回されることばっかりでしょ
そんなもん関係ないのよ
それら全て!! 響の音すらねじ伏せる!!
自信と強引さを持ちなさい!! それが指揮者だよ!!
自信が持てない神峰&刻阪の2人を
「ナァナァのグダグダのブレブレなの!」
と一刀両断。
空気を読もう、人に合わせよう、とすると大体こんな感じになりません?
ビクついて無気力になって周囲の目に従うのではなく、
まずは自分がやってみたいことを通してみる。
周囲の希望や理想に従わないのは勇気もエネルギーも必要とするけれど、
ナァナァのグダグダのブレブレな関係なら、無くても一緒かなって心動かされたんですよ。
まとめ
心が見える主人公・神峰翔太を通じて
「空気に順応しなくても社会を生きていい」
と人生の希望を与えてもらった私の感想でした。
最後に3巻より、前半最高に気に入っているセリフを。
………
できねェことをグダグダ言うんじゃねェよできることを全部やんだよ!!
吹奏楽マンガとしてはもちろん、人間ドラマとしても最高におもしろい
『SOUL CATCHER(S)』をどうぞよろしく!!
神海英雄先生の最新作『地球の子』も愛と勇気の奇跡ラブコメ最高です!!