好きなものがある人生は素晴らしい。
それを言葉にできればなおのこと良い。
締めつけられた胸の高鳴りを、
はやる心臓の鼓動を、
あの瞬間の歓喜感動を全人類に伝えたい!
「好き」「大好き」「尊い」を目の前にしたら、
それ以外の言葉がこの世に存在しなかったかのごとく、消えてしまう!
私には人に伝える力がない……!orz
……って思ったこと、ありませんか?
私はもうしょっちゅうです。
そして書店で目に飛び込んできた本がこちら。
著・三宅香帆『推しの素晴らしさを語りたいのに、「やばい!」しかでてこない 自分の言葉で作るオタク文章術』です。以下広告入りまーす。
思った。「私にぴったりじゃないですか!」って。
勢いそのままに幸せの衝動買い。
「好き」が揺らぎやすいからこそ、言葉を味方にしよう
私はゲームも好きだしマンガも読むし、
同人作品だって愛してるしで好きなものはたくさんあります。
でも、SNSでのオタク同士の会話や
リアルイベント、オフ会に参加するたびに虚しくもなる。
そう、「好き!」を口にし
「LOVE!」を早口でまくし立て
「愛してる!!」を大声で叫べない。
私の愛なんて紙切れより薄っぺらい。
ファンを名乗っちゃいけないんじゃないか。
好きと言っちゃだめじゃないか……。
そんな不安にあらがうひとつの方法が、”自分の言葉で”「好き」を語ること。
筆者は”価値観が移ろうもの、好きなものは変わっていい”という前提で、次のように語っています。
「好き」は儚いからこそ、鮮度の高いうちに言葉で保存しておいたほうがいいんです。そして、言葉という真空パックに閉じ込めておく。
いつかやってくる「好き」じゃなくなる瞬間を見据えて、自分の「好き」を言葉で保存しておく。すると、「好き」の言語化が溜まってゆく。それは気づけば、丸ごと自分の価値観や人生になっているはずです。
他人の価値観や「好き」を眺めるのは楽しいもの。
一方で、ネットに常時接続が当たり前の時代で、
他人の価値観を自分に入れない日はないのが現代。
自分の「好き」がそれだけうつろいやすいのです。
「いい作品に出会った! 好き! 全人類これを観ろ聴け読め!」
という感動は、胸に閉まっておいたら溶けてなくなっていくんです。
はかなさを味わい尽くすのもある意味で趣深いですが、
鮮烈な感動だっていつまでも大事にしたいもの。
”速攻で”自分の感想を残す効能
心動いた瞬間を永遠の言葉に残したい方はぜひ本書を手に取ってください。
具体的かつすぐに使えるハウツーが満載!
中でも、私自ら読んだその日より実践して以来、
視聴作品のレビューを書きためるのに役立っているポイントがあります。
……え、当たり前じゃんって?
もう少し具体的に言いますと
「自分の感想を記録するまでは人の感想を入れない」
ということです。
たったひとつ、これだけでも実践してみてください。
具体的に私が感じた効能はふたつあります。
- 自分の言葉で、自分の気持ちに正直な感想が書ける
- 早く感想を書こうというインセンティブが生まれる
1. 自分の言葉で、自分の気持ちに正直な感想が書ける
作品を鑑賞した後って、自分の意見を他人の意見とを比較したくなりませんか?
いっしょに映画を見に行った友達とその足でカフェに入って感想を語り合ったり……
本を読んだら速攻でスマホに手を伸ばしてSNSで人の感想を読み漁ったり……
場合によっては前評判を知りたくて、鑑賞前からレビューを積極的に求めたり……
他人の評価を読んでいるうちに、
自分の感想と他人の感想との境界がなくなっていく感覚、
誰しも経験あるのではないでしょうか。
ねぇ、あるよね!?
いい評価ならまだしも、悪い評価を目にした瞬間なんて
「あれ、あんまりよくないのかな……」
「私の感性が異常なのか……」
推し語りは楽しいけれど、生まれた感情を脇に置いて
言葉の武装と相対するのは危険に満ちているんだっ……!!
2. 早く感想を書こうというインセンティブが生まれる
一切合切、人のレビューを見ないというわけではありません。
普通に他人のレビューを読んでは
「そうそう、ここおもしろかった!」
「あの違和感の理由はこれか~!!」
なんて、仮想推し語り会を当たり前のように開催してます。
ブログやファンレターにまで昇華させる必要はありません。
種とも言える、メモをとったらSNSでもレビューサイトでも好きに見られます。
早く語り合いたかったら、早く感想をまとめればいいじゃない!
「そのうち……」
「時間ができたら……」
って先延ばしにしていたら、
楽しく盛り上がる推し語りを横から眺めることさえできないのです。
そのうちに旬を過ぎて世間的な評価もかたまっていく……。
そのころには
「ああ、あの作品見たけど……どうだったっけ?」
と鮮烈な感情すら忘却の彼方に眠ってしまう。
見たのに覚えてないとか、悲しくなりますよねぇ?!
そんな後悔を防ぐため、
旬の作品で盛り上がるため、
愛を語り合うため、
”自分の”感想を言葉にするのは重要なんです!!
「でも、人の感想やレビューも気になる! 早く知りたい!」
この心理を逆手にとって、さっさと自分の感動を具体的な言葉にしておきましょう。
まとめ
人間なのですべてを覚えておけないのは当然。
とはいえ、手元に残しておきたい感動だって確かにあるはず。
本書を読んで感想を自分の言葉に残すようになって思ったのは、
感想を書き留めるって、セーブポイントのようなもの、ということです。
スーパーファミコン時代のRPGだと、
セーブスロットが2つか3つがいいとこ……。
スロットを圧迫するとわかっていても、
感動的なイベント直前の記録って消す気になれませんでしたよね。
きちんと言葉に残すことで、
作品の素晴らしさも、そのときの感動も
一気にロードできるようになるんです!
ちょっと手間はかかりますが、
”幸せ”や”感動”のセーブポイントをつくりたくなった方は
どんどん推し語り・好き語りをして世の中に愛を広めていってください!!
最後に「何の本だっけ?」という方へ↓(広告)