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書籍

【書評】子どもがごはんを全然食べない……『子どもの気持ちがよくわかる 食べない子が食べてくれる幼児食』

2019年5月30日

食事をする子ども
家でも外食みたいにパクパク食べて欲しいけど……

こんにちは、2人目育児の真っ最中のしょーいです!

子どもが2人いると、特に厄介なのが食事の支度です。私は料理は半分趣味と言っていいほど好きですが、ハッキリ言います。

子育て中の料理は、考えることが多すぎて辛い!
料理好きでも嫌になりました……。

「子どもの食事も離乳食も、大人の味付け前に取り分ければいいでしょ。」

ええ、私もそう思っていました。そして実際に取り分け離乳食&幼児食を作っていました。
しかし子どもと大人の食事は、味付けを変えれば済むという単純なものではなかったのです。

栄養状態だけでなく、子どもが食べてくれるような調理まで気を回さないといけない……そう、子育て家庭の調理は結構な頭脳労働なのです。

苦労して作っただけに、子どもが全然食べないと
「(せっかく作ったのに、あれこれ工夫したのに)なんで食べないの!食べないと、明日のおやつはないからね!」
とガミガミ叱ってしまい、グスグス泣きながら食べる子どもはますます食が進まなくなるという……。

今回ご紹介する本は、そんな食卓を変えるお手伝いをしてくれました。

加藤初枝・井桁容子『子どもの気持ちがよくわかる 食べない子が食べてくれる幼児食』女子栄養大学出版部

子どもの気持ちがよくわかる食べない子が食べてくれる幼児食


食べない子が食べてくれる幼児食―子どもの気持ちがよくわかる

現在は絶版のようで中古のみですが、その分お安く入手できます。

離乳食を完了した1歳からの幼児食について、子どもが食べやすくなる調理のコツが食材毎に細かく書かれています。 幼児期に食べられる食材は、一通り網羅されているのではないでしょうか。

(写真の本がボロボロなのは、愛用の証と言うことでご了承ください(^^;)

この本では、離乳完了から3歳未満の子どもに食べやすい料理を紹介しています。

加藤初枝・井桁容子『子どもの気持ちがよくわかる 食べない子が食べてくれる幼児食』女子栄養大学出版部

とありますが、子どもの発達はそれぞれなので3歳過ぎていても使えます。現に我が家の長女は3歳ですが、苦手な食材を調理する時はこちらのお世話になっています。

「大人の分から取り分けて、細かくしているのに全然食べてくれない」
「柔らかくて噛みやすい食材を選んでいるのに、吐き出してしまう」

そんな悩みを解決する調理の工夫が食材ごとに紹介されています。

子どもの代わりに、苦手な理由と解決案を教えてくれる

ブロッコリーとにんじん

子どもは離乳食が終われば、大人と同じものを食べられるかというとそんなはずはなく……。

例えば、見ただけで「おくちに はいらなーい」と言って箸もつけない。
小さくして口に入れたと思ったら、いつまでもモグモグして「のみこめない~、がんばれな~い」と半泣きで訴える。
十二分に加熱して柔らかくしても、ペッと吐き出して「おいしくなーい」。

大きさ・かたさ・味・粘りけ……すべての要素を子供が納得いくように工夫するのは、時間もかかるし頭も使います。小さくした、やわらかくした、思い当たる手は尽くしたのにまだ食べない!
一体これ以上どうすればいいのか……(--;

そんなときに役立つのが、「食べない理由と食べやすくする工夫の解説」。目次の見出しを読むだけでも、子どもがなぜその食材を嫌いなのかが分かります。

レシピページ見出し
レシピページ見出し

葉野菜ーぺらぺらしてじょうずに噛めないの
根・実の野菜ーかたくて噛みつぶせないの
ひき肉ーかたくてぽろぽろして食べにくいの

加藤初枝・井桁容子『子どもの気持ちがよくわかる 食べない子が食べてくれる幼児食』女子栄養大学出版部

ワンポイントが子どもの口調でかわいらしく語られています。まるで子どもの気持ちを代弁してくれているよう。「そういうことだったのか、それなら仕方ないね」と納得。

各食材の調理法に移ると、

薄くてかたいキャベツは、繊維を断つように切ってやわらかく煮て、汁気を多めに仕上げて汁といっしょに食べられるようにします。
パプリカはやわらかくゆでて、皮をむいて5mm角に切る。
豚肉は、酒をまぶしてしばらくおくと、やわらかく仕上がります。

加藤初枝・井桁容子『子どもの気持ちがよくわかる 食べない子が食べてくれる幼児食』女子栄養大学出版部

という具合に、子どもが食べやすくなる調理法が詳細に書かれています。
(パプリカの皮ってむけるんだ!と初めて知る←)
ひき肉や卵が子どもにとって食べにくい食材なら、チャーハンを嫌がるわけだ……。

どうしたら食べてくれるか方針が立つので、闇雲にあれこれ試行錯誤する時間と手間を節約できます。

ただ、一つ一つはそこそこ手間が掛かる調理法になるので、時短テクとして「野菜は電子レンジ後にゆでる」「豚肉に酒と下味をまぶしたものを冷凍しておく」を合わせて実践すると実用的です。

食材の原寸大写真が掲載されたレシピ本は珍しい

子どもが食べやすいレシピも60品以上。おやつを除けば、和洋は半々ですね。

実は、私はこちらのレシピを1つも作っていませんがレシピページをかなり読み込んでいます。どういうことかと言いますと……

食材を切ったときの原寸大写真が掲載されています!

「タマネギはみじん切りにし、にんじんは5mm角に切る」というレシピだけ見ても、フィーリングのみじん切りや5mm角が大きすぎたり、小さすぎたりということはよくあります。
私は細かく切ったつもりのキャベツ。写真を見ると、さらに半分程度の大きさで「ああ……これなら食べないのもしかたないね」と納得するのもしばしば(^^;

また、同じ食材でも、レシピが変われば食べやすい大きさも変わることが示されています。
例えばジャガイモ。とろみが少ない煮物なら、むせないように1cm角と小さめに。とろみのあるグラタンなら、煮くずすためにあえて少し大きめに。

幼児食のレシピ本は他にもありますが、原寸大写真が載っているのはそうそうありません。手間の掛かるレシピがそこそこ多いのでこちらの料理は一切作りませんでしたが、写真の通りに切っただけで普段の料理を食べてくれるようになった食材もあり、大変重宝しました。

まとめ:親子で楽しい食卓のために

笑顔で食卓を囲む家族
「食事は楽しくて、幸せなこと」だと伝われば十分

幼児の食事を考えたときに最もたいせつなことは、子ども自身が”食べることは楽しくて、幸せで心地よいことだ”と思えていることです。
(中略)
個人差も大きい幼児の食事は、歩き始めが異なるように、好みも口の育ちもみんな違います。型どおり、本のように進まないことも当然です。マニュアルはあくまでも参考にするもので、そのままでないといけないものではないのです。

加藤初枝・井桁容子『子どもの気持ちがよくわかる 食べない子が食べてくれる幼児食』女子栄養大学出版部

この本は幼児期の食事作りの参考になりますが、一番は「子どもが食事を楽しんで、心身健康に育つこと」です。栄養状態を考えて好き嫌いを克服させたいと思うのは自然なことですが、それで食事そのものが嫌いになってしまえば悲しいですよね。

もちろん、この通りにしたらあらゆる食材が食べられるかというと、そんなことはありません。
我が子はひじきを除く海藻は未だに食べられませんし、葉野菜も汁物・とろみのある煮物以外では食べられません。

ただ、こちらの本がなければすべての苦手食材について
「細かくしたら良いのかな」「とろみをつけたらいいのかな」「味付けを変えたら食べてくれるかな」
と、自分1人で途方もなく調理の工夫をし続けていたでしょう……。
そのプレッシャーや労力を考えると、「こうしたら食べてくれるかも」という指針があるのは有難いです。

それでダメなら「ああ、苦手なんだな」で諦めもつくので……(笑)。

何より大きな効能は、私自身が子どもの「食べない理由」を知ることで、子どもに無理矢理食べさせるようなことがなくなった点です。「これは食べるの難しかったね、また今度頑張ろうね」の一言をかけられるようになりました。

考えてみれば、大人だって嫌いな食べ物を食べさせられる食卓はイヤですよね(^^;
でも、当事者はそんな当たり前のことに思い至らないほど、余裕が無かったんです……。

子どもの成長を心配するのは当然ですが、そこまで神経質になる必要もありません。嫌いな食材があっても、まんべんなく色々な食材を食べれば栄養の偏りは出ませんからね。
ピーマンが嫌いならパプリカやブロッコリーを、ひき肉が嫌いなら薄切り肉やささみを食べればいいんです。

我が家では毎週末、「栄養不足は大好きなカレー(シチュー)で解消」作戦です(笑)
大人の工夫は疲れない程度にして、笑顔で食卓を囲みたいですね!

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