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映画

映画『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』感想 自己肯定感を傷つける3つの行動

2019年8月27日

喜ぶ子どもたちと虹
手を取り合う未来もあったのだろうか

※本記事は『ミュウツーの逆襲』および『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のネタバレが含まれます。ご了承ください。

こんにちは、しょーいです!

私(ポケットモンスター Let's Go! を持っていないし、リメイク前は見たし、今年は見に行かなくてもいいかなー)
長女「ピカチュウ見たい!ガオーレディスク欲しい!」

というわけで、今年のポケモン映画『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を3歳長女と一緒に見てきました。

個人的な話はさておき。
リメイク前と全く同じストーリーなので語り尽くされていますが、本作のテーマは「自己肯定」です。
ミュウツーがありのままの自分を認められるようになるまでが描かれています。

一度は観た映画でしたが、今回鑑賞して子どもへの関わり方を見直す新たなきっかけになりました。
ミュウツーが「自己肯定」に至るまでの過程に、モンテッソーリ・メソッドとの共通項があると気付いたからです。

本記事では、「自己肯定感」を傷つける3つの行動を『ミュウツーの逆襲』×モンテッソーリ教育で解説します!

ちなみに、私がモンテッソーリ・メソッドの詳細を知った書籍はこちらになります。


子どもの才能を伸ばす最高の方法モンテッソーリ・メソッド―――「自律した子」の育て方すべて

そもそも「自己肯定感」とは?

悲しい仮面
自己肯定感が低いと、劣等感が強くなります

自己肯定感とは、自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉です。

『実用日本語表現辞典』

自己肯定感が低いと、「自分には価値がない」と感じるようになり、物事に取り組む意欲が失われたり、劣等感から健全な人間関係を築きにくくなると言われています。
(参考:東洋経済ONLINE『自己肯定感が低い人に表れる危ない5つの特徴』 )

近年の国際調査( 『高校生の生活と意識に関する調査-日本・米国・中国・韓国の比較-(平成27年度調査)』)では、「日本の高校生は、米国、中国、韓国の高校生に比べて自己肯定感(自尊感情)が低い」ことも明らかになりました。

このような状況から、「自己肯定感」を高める必要性が叫ばれるようになっています。

自己肯定感を傷つける3つの行動

自己肯定感を傷つけてしまう行動は何か?
『ミュウツーの逆襲』のシーンを通じて、3つのNGポイントを解説します!

ポイント1:一方的に希望を伝える

一方通行の標識
「あなたの希望は聞いてません」

ミュウツー「わたしは誰だ……。ここはどこだ……」

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』

本作品を象徴するオープニングです。
ミュウツーは人工的に造られたために自然界の生物とは異なることを自覚し、常に自分の存在意義を問い続けています。

生まれる前から「自分とは何か」を考えていたミュウツーは誕生のときを迎えます。
しかし初めて目にしたのは、目標達成を喜ぶ研究者たちでした。

  • 最強のポケモンができた
  • これで研究を続けられる
  • 科学の勝利だ

”ミュウツー”という目の前の個体の誕生ではなく、自分たちの成果ばかり強調しています。
悪い例えをすれば、子どもの誕生日なのに当人をほったらかして生んだ自分を祝う親のようなものです。
自己像が不安定になるのも当然の流れ……。

ミュウツーは、「最強のポケモン」という研究者の言葉をよりどころにするかのように、最強を証明することに執着していきます。
研究者たちの希望をミュウツー自身の希望にすり替えてしまったのです。

ここからわかるのが、親の希望ばかりを伝える弊害です。

子どもがこれをやりたいと言い出す前に、「こんな子になってほしい」「他の子はこんなふうにできるのに」と親の希望ばかりを伝えていないでしょうか。
(中略)
ひょっとしたら、子どもは「お母さんが好きではなさそうなこと」をやりたいと思っても、あえて言わないでいるだけか、あるいはそもそも好きなことを探す暇がないほど忙しいだけかもしれません。

堀田はるな『子どもの才能を伸ばす最高の方法――モンテッソーリ・メソッド』第2章

ミュウツーの意思を知ろうともせず、研究の目的だけを一方的に伝えるシーンが重なります。
生まれた瞬間に「最強のポケモンとして作られた」なんて言われたら、「美しい景色を見たい」「夢で見た誰かに会いたい」なんて言えなくなります。

まだ何も知らない子どもには「教育」すべきことがたくさんあるかもしれません。
しかし、それを受け入れるかどうかは子ども側に決める権利があります。

堀田はるな『子どもの才能を伸ばす最高の方法――モンテッソーリ・メソッド』第2章

大事なことは、子どもを観察して、子どもを主体にすること。
大人が「教育する」という発想は脇に置いて、サポーターに徹すること。

ついつい口出ししてしまうので、一番忍耐がいるところではありますが……!

ポイント2:「気持ち」よりも「結果」にフォーカスする

虫眼鏡で見る花
何を見ているか、相手も見ています

ミュウツーは強いです。
自分を生んだ研究施設は壊し、野生のポケモンは圧倒する。
ロケット団の基地も壊し、嵐を越えてきた凄腕トレーナーのポケモンも一捻り。

それでも心が満たされないのは、自分の気持ちを認めてもらえないからです。

中盤では、本物より強くなるように作られたコピーポケモンと、オリジナルである本物ポケモンが互いの存在を賭けて戦います。
この争いを見て、ロケット団のムサシとコジロウは鋭い指摘をします。

ムサシ、コジロウ「なんだか気の毒で気の毒で、自分で自分をいじめてる。昔の自分を見るようで、今の自分を見るようで。やな感じ~。」

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』

この本物vsコピーのバトルは、「自分同士の戦い」に他なりません。
本物とコピーが互いを排除しようとするのは、自分の弱い部分を排除したいからです。

ミュウ(ニャース訳)「本物は本物だ。ワザなど使わずに体と体でぶつかれば、本物はコピーに負けない」

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』

ミュウツーのオリジナルであるミュウは、「ワザなど使わずに体と体でぶつかれば」と言いました。
つまり、ミュウは自分のワザがミュウツーに劣ることを自覚しています。

自分の弱さを認めずに相手を排除する姿は、ムサシたちが指摘したように「自分で自分をいじめてる」状態です。
つまり、ミュウツーはミュウに勝ったとしても、やってることは自己否定。
自分をいじめ抜く辛さに寄り添ってもらわなければ、勝利という「結果」を評価したところで心は満たされないのです。

子どもがたいして頑張った気持ちになっていないときに、「すごいね!」「頑張っているね!」と言われてもあまりプラスにはなりません。
(中略)
「共感」は親子が通じ合う大切なコミュニケーションです。やたらと褒めるより、子どもと同じ目線に立って喜んだり、うまくいかなかったときには「残念だったね」と悲しんだりすることが大切です。

堀田はるな『子どもの才能を伸ばす最高の方法――モンテッソーリ・メソッド』第3章

「褒める子育て」が言われて久しいですが、失敗したときや欠点があらわになってしまったときにまで褒めるのは空しいです。
例えば、納得いく工作ができずに悔しい思いをしている子どもに、「上手だね!」と言ってもかえってモヤモヤさせてしまいます。

「悔しかったね」と相手の気持ちをありのまま認める「共感」が、自分を肯定して失敗にもくじけない力を生んでくれます。

ポイント3:相手の未来を先読みする

双眼鏡を覗く少年
自分の未来と相手の未来は別物です

クライマックスで、ミュウツーはコピーポケモン&ミュウとともに空の彼方へ旅立ちます。
たどり着いた場所は、オープニングの夢に見た景色と似た場所でした。

ミュウツー「私は、あの誰かが飛び立っていった世界を忘れない」

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』

化石の遺伝子に刻まれた記憶か、ミュウのテレパシーかはわかりませんが、ミュウツーは生まれる前に「世界」への興味を持っていたのです。
しかし、誕生とともに「最強」が自分の存在意義と考えるようになりました。
ポイント1とも重なりますが、生みの親である研究者たちはミュウツーの興味を無視して「最強」という価値を与えたからでした。

大人がここで先読みしてこの子の成長にはあれが足りない、これが足りないと足りないもの探しをすることほど意味のないことはありません。そんなに先の心配をするより、子どもが今興味を持っていることに共感して一緒に楽しむことの方が将来にとってプラスになります。
(中略)
大人の期待にそえない自分を防御するために、できない理由を両親や友達など自分以外の環境のせいにすることもあれば、失敗を恐れるあまり、チャレンジそのものにひどく臆病になってしまうこともあります。

堀田はるな『子どもの才能を伸ばす最高の方法――モンテッソーリ・メソッド』第2章

ミュウツーは無意識のうちに「最強」という周囲の期待にそえない自分を防御するために、「世界」への興味を封じ込めたように見えます。
「忘れない」と誓ったはずが、劇中では「最強の証明」「人間への逆襲」にいっぱいいっぱい。
ロケット団から逃げた際に、そのまま「世界」「誰か」を探求する一人旅に出ても良かったはず。

結局、ミュウツーが自分の興味を探求するようになったのは、ミュウとの戦いを止め、本物vsコピーの戦いを止めた後でした。

子どもが全力でチャレンジできるようになるには、親が彼・彼女を丸ごと肯定してあげることが一番です。そして、子どもが興味を持っていることを一緒に探求できれば理想的です。

堀田はるな『子どもの才能を伸ばす最高の方法――モンテッソーリ・メソッド』第2章

ポイント2では本物とコピーを「自分同士」としましたが、オープニングの博士のセリフを借りれば、ミュウはミュウツーにとって”親とも言える”存在です。

ミュウツー「ミュウ?あれが私の親なのか?父なのか、母なのか」
博士「とも言える……が、そうとも言えぬ」

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』

親とも言えるミュウがミュウツーを「ここに在る」と肯定したことで、ミュウツーは「世界」への興味を復活させたのです。
そして夢に見た景色(と似た場所)への探求を始めました。ミュウも一緒に。

親の興味と子どもの興味が異なると、子どもとしては「これでいいのか」気にしてしまうものです。
だから親は子どもと同じ目線で一緒に探求する姿を示しましょう!

まとめ:1%でも多く!意識を相手に注ぐ

水を注ぐボトル
水を注ぐように、意識を注ごう

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を例に、モンテッソーリ・メソッドで自己肯定感を高める方法を解説しました。

  • ポイント1:一方的に希望を伝える
  • ポイント2:「気持ち」よりも「結果」にフォーカスする
  • ポイント3:相手の未来を先読みする

本記事では3つのNGポイントに絞りましたが、やることは「目の前の相手に意識を注ぐ」ことに尽きます。

一方通行でないコミュニケーションには、子どもの意思を汲む努力が欠かせません。
「気持ちに寄り添う」には、相手の表情や様子から気持ちを正しく察する必要がありますし、
世間や周囲への見栄を優先すれば、子どもの将来を決めたくなるときもあるでしょう。

実例ですが、ポケモンガオーレを楽しむ長女を見て「女の子なのにねぇ……」と後ろで順番待ちをする親子にぼやかれたことがありました。
長女は全く気にしていませんが、もし親である私や夫が困れば察して「もうやらない」と言う可能性だってあります。

長女はポケモンが好き。私は世間の評価よりも、今の好みを尊重してあげたいと思っています。
”女の子””お姉ちゃん”という属性ではなく、長女その人をきちんと見た上で。

育児だけでなく、家事も仕事も日々忙しいですから、「相手をきちんと見る」ことの難しさは私自身痛感します。
平日の夕方なんて、「お手伝いする!」と言われなければ、テレビを見せている間に夕食を作るような生活です……(^^;

でも、「意識を1%でも多く相手に注ぐ」ことが習慣になると、あらゆる人間関係に応用できます!
親子関係はもちろん、夫婦関係、職場の人間関係にも。
モンテッソーリ・メソッドに興味を持った方は、是非、今日から実践して下さい!

日常生活への具体的な取り入れ方は、書籍に詳しいです。


子どもの才能を伸ばす最高の方法モンテッソーリ・メソッド―――「自律した子」の育て方すべて

そして『ミュウツーの逆襲』に興味を持った方は劇場へ!
リメイク前ならDVDレンタルでも見れますので、子どもと楽しく鑑賞しながら学びを得ましょう♪

本記事が、育児や教育に携わる人の参考になれば幸いです。
お読みいただき有難うございました!

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